80年代、LOUDNESSを筆頭にBOW WOW/EARTHSHAKER/44 MAGNUM/MARINOなどジャパメタという名の元に、日本のハードロック/ヘヴィメタル・バンドたちが音楽シーンを熱く掻きまわしていた時代があった。彼らが日本のヘヴィメタル界の黎明期を担ったバンドなら、その後にANTHEM/FLATBACKER/SABBRABELLSらが台頭。やがてその血はDEAD ENDやX(現・X JAPAN)へと受け継がれ、その一部の意志は今のヴィジュアルシーンにも流れていった。
その歴史の中、80年代中期に登場。独自の道を歩み、その名を当初から海外にまで知らしめていたバンドがあった。それが、名古屋をベースに活動していたCROWLEYだった。
CROWLEYが強く打ち出していたのが、サタニックメタル/ブラックメタルなスタイル。「オカルト/ホラー/魔術/魔法使い」など「神秘/恐怖/狂気」を前面に打ち出したCROWLEYの音楽性は、速さの追求や形式ばった様式美など形骸化したヘヴィメタル音楽が量産され没個性していく中、他には属さない独自の妖気を放ち、高い支持を得ていた。ステージング面に於いても、十字架やペンタグラムを模したオブジェを燃やしたり棺桶を使ったりと、バンド/楽曲の持つ呪術的な世界観をステージングやビジュアルに投影。国内のみならず、海外にも数多くの信奉者を生み出した。
86年にLP盤として発売した『WHISPER OF THE EVIL』は、限られた流通と通販という販売形態だったにも関わらず、当時10000枚以上売り上げている。現状、未CD化状態だけに、CD化を待望する声はいまだに多い。

CROWLEYは、83年に結成。様々な伝説を刻みながらも、87年に解散。実質、4年程度の短い活動期間でしかなかった。それでも歴史の中で語り継がれ続けているように、CROWLEYが残した影響力には多大なものがあった。
そのCROWLEYが、30年の時を経て、ふたたび活動の狼煙を上げた。正確に語るなら、彼らのホームグラウンドだった名古屋E.L.Lの新設移転を前に、旧E.L.L.が閉鎖になる2000年に、オリジナルメンバーの岩井高志(Vo)/古久根吉紀(G)/HIRO(Dr)にゲストベースを加えた形で短いライブを実施。2007年にもアンプラグドのイベントへ出演し、当時は未発売ながらメンバーで『Destitute Song(2007 unplugged Ver.)』のレコーディングも行っていた。
その頃からCROWLEYは、ふたたび活動の雄叫びを上げようと準備を整えてきた。復活の起爆剤となったのは、本当なら今年行われるはずだった北米ツアー「METAL ALL STARS」へ、CROWLEYがオープニングアクトとして招聘されたことだった。CROWLEYの復活の噂を聞きつけた海外イベンターのオファーを受け、オリジナルメンバー岩井高志(Vo)/古久根吉紀(G)/HIRO(Dr)は、このツアーを本格的な復帰の舞台に設定。新たに三芳俊二(B)をメンバーへ迎えれば、同ツアーで販売しようと、CROWLEYの曲たちを英詞でセルフカバーしたアルバム『NOCTURNE』を作りあげた。
だが、同ツアーはプロモーターの失踪というアクシデントに遭い、キャンセル。CROWLEYのライブとしての復帰の場は一度白紙に戻すことになった。が、CROWLEY復活の噂を聞きつけた内外のファンたちからのリリース待望の声を受け、ライブ活動再開の前に、アルバム『NOCTURNE』の国内発売を決定。9月6日、その音源の封印がついに解かれることになった。

 アルバム『NOCTURNE』には、『Ghoul』や『Don’t be in a hurry』『Nocturne』など、すべて英詞で新録された楽曲を全部で8曲収録。さらにボーナストラックとして、2007年にアンプラグドイベントへ出演した時期にレコーディングした『Destitute Song(2007 unplugged Ver.)」』。CROWLEYのライブには欠かせない名曲『Evening Prayer(1985 demo Track)』も並べている。このアルバムについて、古久根吉紀とHIROが、それぞれに言葉を届けてくれた。

「CROWLEYには沢山の名曲がある。でも今回に関しては、これまで一度も音源化されたことがない楽曲など、CROWLEYの隠れた名曲たちを世の中へ出してあげたかった。あの当時の楽曲を今に甦らせても古さを感じさせない。そこにも着目して欲しい」(古久根吉紀)
「もちろん、過去に音源化されている曲たちも入ってるんだけど。たとえば『Don’t be in a hurry』は、E.L.L RABELで出したコンピレーション盤に収録していたCROWLEY初期の楽曲。あの頃は制作する側も、バンド側もレコーディングの知識が足りてなくて、自分たちのイメージ通りのサウンドに出来なかった。しかも『Don’t be in a hurry』は、ライブ演出を施した後に演奏すると観客たちがバーッと盛り上がったりなど、ライブで大切なポジションを占める楽曲だったことから、「自分たちが本当に求めた形で残したいね」ということで入れました。『Evening Prayer』は、CROWLEYのセットリストの中でもメインとなる楽曲。今回改めて昔のレコーディング音源を聴いたとき、思ってた以上に保存状態が良かったことから、それをデジタル処理してマスタリング。いい感じの音質で収録することが出来たなと思ってる。
 アルバム『NOCTURNE』はCROWLEYの歴史を知るうえでベストな選曲として行えば、実際に並べたら非常にいい流れになっていた。何よりセルフカバーしたことで、自分たち自身が原点の気持ちへしっかり戻れたのが大きかった。再結成バンドって、演奏は上手くなっているけど、昔のヤバかった匂いが無くなっていることも多い。CROWLEYは、あの頃のヤバい匂いをしっかりと見せたかったように、そこへもこだわりを持って制作しています」(HIRO)

現状は、アルバム『NOCTURNE』を発売する形を持って復活と銘打っているが、まだ正式な日程が決定していないだけで、ライブ面に於いての活動再開も視野に入れ、今、様々な準備を行っている。メンバー自身は、LIVE DVDの制作も考えている。と言うことは…メンバーからの次のアクションも心待ちにしていて欲しい。そのためにも、まずは今のCROWLEYをアルバム『NOCTURNE』を通して味わっていただきたい。

TEXT:長澤智典

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★映像★
CROWLEY – GHOUL (PV Ver.1)

CROWLEY NEW ALBUM “NOCTURNE” TRAILER NEW VER.

★CD情報★

THE NEW ALBUM
“NOCTURNE”
9月6日on SALE!
3,024円(税込)
レーベル:DROP OUT MUSIC

(1) Fairy Tricks
(2) Floating Man
(3) Ghoul
(4) Bad Stone
(5) Await
(6) Nocturne
(7) Don’t be in a hurry
(8) Midnight Dream
~Bonus Tracks~
(9) Destitute Song (2007 unplugged Ver.)
(10) Evening Prayer (1985 demo Track)

全曲、歌詞が英語ヴァージョンの最新録音アルバムで、過去にリリースされた事のない曲や過去に発表した曲を再度、アレンジして英語ヴァージョンとしてリメイクされた事実上のニューアルバム。最新録音8曲に加え、1985年に録音された未発表の名曲「Evening Prayer」と、2007年に録音された「Destitute Song」のアンプラグド・ヴァージョンの2曲をボーナストラックとして収録した全10曲入りアルバム。