名古屋をベースに活動中のdelaが、先日ベスト盤「DELAX2」を発売。これまでの歩みを集大成した同作品のリリースは、グループにとって、次のレベルへステップアップするうえで絶好の変わり目となった。そのタイミングを持って、これまでサウンドプロデュースを担い続けてきた近藤薫が総合プロデューサーへ抜擢。現在のdelaを、更なる高みへ導くための道を描き始めた。
AKB48やV6、東方神起など、様々な有名アーティストにも楽曲提供。みずからもシンガーソングライターとして活動を続ける近藤薫プロデューサーが、どんな意志を持ってdelaをプロデュースしようとしているのか、その真意を伺った。

「今までのdelaを変えないように大事に守っていく」では、引き受けた意味がないと思っています。

――これまではサウンドプロデューサーとしてdelaに関わり続けてきましたが、このたび総合プロデューサーへ就任。その経緯を教えてください。

近藤薫 delaには、9年間の歴史の中、もう7年くらいサウンドプロデューサーとして楽曲やライブ制作へ関わらせていただいてきました。このたび総合プロデューサーが辞任をすることになり、delaチームの方々から「delaのことをよく知っている方で経験豊富な人にこれからの道を作って欲しい」「delaにもっと深く関わってもらいたい」というありがたいお話をいただきました。僕自身、delaは大好きなグループですし、とても可能性を感じていたこともあり、「僕もdelaのみんなと一緒に未来を作っていけるのであれば」という想いのもと、総合プロデューサーとしての依頼を受けさせていただきました。

――近藤さんは、東京に活動の拠点を置けば、静岡在住のROSARIO+CROSSの総合プロデュースも行っています。一方、delaは名古屋を軸に活動中。距離的な問題に関しては、どのように考えているのでしょうか。

近藤薫 そこは、今回のオファーをいただいたとき、自分の中で一番懸念していたことでした。でも、以前からdelaチームの方々がメンバーらの身近に寄り添いながら一緒に歩み続けている姿を見ていましたし、僕がサウンドプロデューサーとして関わっていた頃からそうですが、現地にいなくともdelaをしっかり動かしてくれる優秀なスタッフがメンバーの側にいるのも十分わかっていました。もちろん、今も頻繁に名古屋へ足を運んでいるとはいえ、すべてを現地で賄わなくとも出来る環境が今は整っています。確かに運営スタッフ構成は変わりますけど、チームが刷新されるわけではなく、継続したうえで、さらに新しい仲間も増えてという形でしたので、そこは安心しています。それに僕の仕事は、delaのメンバーたちや各スタッフたちの動きを把握し、それをしっかりまとめあげ、逆に提案を投げかけてゆくこと。そこさえ磐石なリレーションを取れているのであれば、delaの動きはより活性化していくと思ったことも、東京と名古屋という距離があろうと引き受けた一番の要因でしたね。

――近藤さんの構想も反映させていくんでしょうけど、従来のdelaチームがやってきたことも、しっかり継続させてゆくわけですよね。

近藤薫 delaを支えるため、いろんなポジションを持って活動をしてきた人たちがいるように、そういう方々の意志を尊重したうえで、自分なりの考えも提案しながらリレーションしていくことが大事だと僕は思っています。何より今は、「総合プロデューサーが交代したことで、delaが駄目になった」とは絶対に言われたくないし、ファンの方々に「大丈夫なのか?」と心配もさせたくない。そのためにもまずは、ファンの方々に安心していただきつつ、未来へ期待を覚える環境作りをしてゆくことが第一だと思っています。
そのうえで、僕がdelaを手掛けるからには、「今までのdelaを変えないように大事に守っていく」ではなく、delaの良いところを活かしたうえで、良い意味で「あっ、dela変わったね」と期待を覚えさせたい。でないと、僕がdelaの総合プロデューサーになった意味がないですから。誰でもいいではなく、僕が手掛けたからこその色は、なるべく早い段階から出していきたいと思っています。

――就任して間もないように、これからじっくり仕掛けていこうという意識でしょうか?

近藤薫 まず最初にやらなくてはいけないことは、メンバーそれぞれの目標がどこにあるのか!?というところを把握することだと思っています。ステージがやりたいのか、タレントがやりたいのか、モデルなのか。以前からサウンドプロデューサーとして接してたとはいえ、日々のメンバーのケアまで携わっていたわけではないので、総合プロデューサーとしてdelaを手掛ける以上は、そこを最も大事にしていきたいなと思っています。やりたいことが出来る環境を与えてあげたいし、やりたくないことを大人の事情で押し付けたくない。モデル希望のメンバーに難しいソロパートを渡して教育するのも違いますしね。delaは良くも悪くも、ビジュアルが華やかで様々な仕事に恵まれていたから故に、音楽ステージそのものを大事に出来ていなかったグループだと思うんですよ、いや、持っている力を発揮できていなかったと言った方がいいかもしれません。もちろんメンバーたちも、最初からあけすけに想いをぶつけてくれるものでもないし、自分の中に溜め込む感情だってあると思います。僕自身も、相手の心や気持ちへ土足で入り込むことはしたくないので、そこは女性スタッフの方々や、すでに信頼を得ているスタッフの方に上手く手伝っていただきながらしっかり関係性を育みたい。そんな感じでメンバーそれぞれの気持ちをケアしていきながらグループの土台を再構築していきたいと思っています。

――メンバーの意志をどう尊重してゆくかも、大事だと。

近藤薫 そうなんです。僕がdelaを通してやろうとしているのは、「僕のアイドル活動への想いや構想をdelaにやってもらう」のではなく、「delaだからこその持ち味を把握したうえで、どうプラスへ導く形を作ってあげられるか」。もちろん、メンバーたちのやりたいことを尊重はしたい。だけど、やりたいことのための技量が足りないのに「本人らの意志だから」とやらせても、けっして良い結果には結びつかない。むしろ、本人らの技量を活かせる形へ繋げたほうが、より成長もすれば、魅力も発揮してゆく。要は、「やりたいことと出来ること」のバランスを見極めながら、上手く道筋を作っていこうということ。
そのうえで付け加えるなら、僕がプロデュースしているROSARIO+CROSSの場合、アイドルパフォーマンスユニットと名乗っているように音源やライブへ軸を置き、魅せるステージングを重視した活動を目指すためのプロデュースワークを行っています。でもdelaは、グラビアなどのモデル/タレント活動を魅力に力を伸ばしている子もいれば、役者面での素養を伸ばしている子もいます。僕が一番得意としているのは音楽面ですが。これまでやってきた芸能活動の面での成功を活かしながら、それぞれの個性や魅力も出来る限り伸ばしてあげたい。僕が音楽面での強みをそこへプラスしてあげることで、さらにその子たちの輝きを増してあげられたら…。それが理想的なんでしょうね。

――近藤さん自身delaの楽曲へ7年以上関わってきたように、そこも極端に変わるわけではなく、現状に+αの要素を加えながら進めてゆく形でしょうか?

近藤薫 プラスして積み上げていくというスタイルが目指すところですが、変化できる事もあると思います。確かに、これまでもサウンドプロデューサーとして関わってきましたが、メンバーの歌のパート割など、前任プロデューサーの意志もあったうえで決めた事柄もいろいろとあります。具体的に言うなら、技術で選びたい僕と、視覚的な訴求面で選びたい前任プロデューサーの意志など、いろんな意見を組み合わせたうえで作り続けてきました。だけど今は、そのすべてを考えた上で組み立てていくことになります。これからは、ソロパートの割り振りも含め、良い歌を、その楽曲の生きる歌を届ける前提でメンバーの振り分けを行うつもりのように、そこの差も大きく見えてくるところだと僕は思っています。

僕の気持ちに入ってきたのは、メンバーたち全員が「新体制になった今、自分たち自身でdelaを変えていこうと積極的に動き出している意志や意識」でした。

――8月10日には、久しぶりとなるdelaのワンマンライブが名古屋ダイヤモンドホールで行われます。ソーシャルディスタンス仕様とはいえ、チケットは完売。delaに期待を持っている人たちが多いことを、しっかり証明しました。

近藤薫 確かに、今の状況に合わせ席数は通常よりも抑えた形での完売でしたけど。何よりも嬉しかったのが、チケット発売後1分で即完したことでした。それだけ、みなさんが新体制となって進み始めたdelaに期待してくれているんだなと感じられましたからね。

――先程もメンバーとのコミュニケーションについて語っていただきましたが、メンバー各々との接点も以前とは変わりました?

近藤薫 今までよりもコミュニケーションが増えれば、意志確認も出来るようになったと思います。もちろん、こちら側としては「何でも話してよ」という気持ちでいますけど、本音で話し合える状態になるのは簡単じゃないと思っています。

――近藤さんが今胸に抱いているdelaへの思いや、今後のヴィジョンについても聴かせてください。

近藤薫 delaは、意外にもアイドルたちが当たり前にやっていることを、あえてやらずにいたグループなんですよ。東京でも単独公演を十分出来る力を持っていながらも、「TOKYO dela THEATRE」という企画的な形で行った経験はあっても、純粋な単独公演は名古屋以外ではやってない。だからこそ、東京での単独公演はもちろん。小規模で構わないから、全国ワンマンツアーを行ないたいなと思っています。加えて、dela主催のイベントやフェスも仕掛けたい。これも、意外にもdelaはやってこなかったこと。世の中の動きを見据えてとはいえ、名古屋から全国へという展開は、より積極的に発信していきたいなと思っています。

――最後に、ひと言お願いします。

近藤薫 総合プロデューサーが交代となった時期、もしかしたら「辞めよう」と思ったメンバーもいたかも知れません。僕も、そこまでメンバー個々の気持ちを聞いてあげられたわけじゃないけど、今の僕の気持ちに入ってきたのは、今いるメンバーたち全員が「新体制になった今、自分たち自身でdelaを変えていこうと気持ちを一つに、積極的に動き出している強い意志」でした。これまで以上に結束力を固めている今のdelaだからこそ、その意識をしっかり伸ばしてあげるのが僕の役目。彼女たちの意志を具体化した姿を持って未来へ繋げていくために今、メンバーとチームが一丸になって走り続けています。その最初の姿を示すのが、8月10日に名古屋ダイヤモンドホールで行う【dela 21th Live】「後ろさえ見なければ、僕達には未来しかない。」になります。それ以降も躍進してゆくdelaに、ぜひ注目していただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。

TEXT:長澤智典

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dela ベストアルバム第二弾「DELAX2」2020.7.15発売

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