10月より放送を開始したアニメ「まえせつ!」。今回、アニメ「まえせつ!」を手掛ける(株)KADOKAWAと企画協力の吉本興業(株)、ゲーム・マンガ・アニメ・声優を育成する専門校「バンタンゲームアカデミー」が連携。アニメ「まえせつ!」のPRを目的にしたゲームを「バンタンゲームアカデミー」と「iU情報経営イノベーション専門職大学」の学生たちが制作。その中から優秀な作品を選び出すコンテストを実施。先にゲーム試遊会を行ない、4チームが最終審査会でゲームを提案する形で進められた。

同コンテストは、11月22日(日)にバンタンゲームアカデミー 東京校 中目黒D1校舎内で開催。審査員をアニメ「まえせつ!」の信田ヨウ監督や「まえせつ!」のプロデューサー、脚本家など関係者7人が務め、アニメの制作者という視点から作品を審査。優秀作品は、「まえせつ!」公式宣伝用ゲームに採用されるという特典も用意された。
当日の司会進行は、アニメ「まえせつ!」にも同コンビ名で出演している芸人のBANBANBANが担当。当日の模様は、Youtubeでの生ライブ配信としても中継になっていた。

イベントは、BANBANBANの司会のもとスタート。プレゼンを前に、審査員たちからは「ゲームをプレイしたあとに、またやりたいと思える全集中のゲームを期待したい」「もう一度アニメを観たくなるように導くゲームが嬉しい」との声も飛び交っていた。参加した審査員たちは、司会のBANBANBANの振りにコミカルな答えを返すなど、意外と緩い姿勢を示してゆく。そこも、「楽しむ」ゲームを審査する、この日の審査員たちらしさと言えようか。

決勝大会に進出したのは、チーム日本一・チームカナザワ・サカキチーム・チームiUの4組。最初に各チームの代表が登壇。「悔いが残らないプレゼンをします」「俺らの全集中のプレゼンを見せたいね」と、それそれがコンテストに向けた意気込みを語っていた。

チーム日本一

プレゼンは、高校3年生たちによる「チーム日本一」からスタート。彼らは「まえせつ!ぐらぐらバランスラン」ゲームを解説。コンセプトは、ゲーム内へ登場する4つのコンビごとに特有のスキルを持たせることで、コンビごとに異なるゲームプレイを楽しめる」こと。このゲームは「シンプルだけど中毒性のあるゲーム」として制作。「ランゲーム」と「バランスゲーム」を組み合わせることで、進まなければいけないが、進みすぎるとバランスを崩すように、何度も遊びたくなる中毒性を持った内容。あえてバランスを崩しそうという映像を投影し、ハラハラさを出していたところもポイントだ。


実際にゲームをプレイしながら、その内容をチームメンバーたちが解説。ゲームの企画内容から宣伝方法、プログラムに於いての動作機能の多様性、実際のプレイスタイルまで、多角的な面からゲームの楽しさをプレゼンしていた。
その後、実際に審査員たちにゲームを試していただくことに。審査員たちからは、「かなり本格的」という感想の声なども飛び交っていた。審査員の質問を受け、ゲームの制作には2ヶ月を費やしたこともメンバーたちは語っていた。
審査員たちも、ゲームの内容を確認するようにプレイし始めたはずが、ついのめり込んでしまっていたことも伝えておこう。ビジュアルから感じるライトさとは裏腹に、実際にプレイすると難しいのもポイント。そのギャップに、審査員たちも魅力を感じていた。

チームカナザワ

 二番手に登壇した高校2年生による「チームカナザワ」。まずは動画でゲーム「まえせつ!ぱずみっくあくたー !」の内容を説明。そのうえで、プレゼンチームが「文字さがしゲームとリズムゲームをミックス。アニメを知らない人でも、ゲームをすることで「まえせつ!」を知ってもらえる内容にしました」と、補足していた。用意したレベルのゲームをクリアするごとに、キャラクターのボイスが聞けるように設定してあるのもポイント。なぜ文字探しゲームとリズムゲームをミックスにしたかの理由を、プレゼンターたちが「両方とも印象深く繰り返して遊べる楽しさがあることで、「まえせつ!」の認識も自然と深めてゆける」とも語っていた。


ゲームの制作期間は3ヶ月程度。重要視したのが、「まえせつ!」の世界観を崩さないこと。「「まえせつ!」の世界観を全体に反映しながらゲームを作っていた」ことも説明。審査員たちは、徐々に難易度を上げていくゲームについて、「お子さんでも楽しんでいけそう」と感想を述べていた。「なぜ2つのゲームなのか」という審査員たちの疑問に対し、「音楽ゲームだけでは差別化ができないことから文字探しゲームを入れた」と、2つのゲームを組み合わせた理由も語っていた。「ゲーム中に流れる曲を選んだ理由」についても、「タイトル曲は明るめにして人を呼び込み、文字探しゲームではちょっと落ち着いたBGMに、音楽ゲームはリズムのある音楽をと選ばせていただきました」と説明していた。

チームサカキ

 三番手に登壇したのが、チームサカキ。プレゼンした「ジェネせつ!」は、頭に思い浮かべたモノを当ててくれる人口知能のようなゲーム。さっそくプレゼンターたちがゲームを実践。一人が思い浮かべたものを、「ジェネせつ!」のアンケート機能を使い分析してゆくのだが、出てきた質問へ答えつつ、その答えを受けて次に出てくる質問が支離滅裂。というのもこのゲーム、じつは「当たらないことを前提にした」、お笑い要素を重視した内容。プレゼンターたちは、それを「人口知能」ならぬ「人口無能」機能と答えていた。


チームのメンバーたちも語っていたように、このゲームは「プレイヤーが思い浮かべた内容を分析してゆくための質問へこう答えたのに、なんで次にこの質問が出てくるの?」という、ギャグ性が魅力。プレゼンターたちは、「今のゲーム市場の事情も説明したうえで、誰でも簡単に楽しめるこのゲームが生まれた」と背景を伝えてくれた。
制作に2ヶ月を費やした、このゲーム。一番重要視したのが「普段はまったくゲームをしない人でも楽しめるように、操作の簡易性を重視したこと」。今回のゲームはPRが目的になっているので、拡散性を持たせるゲームとしても制作。「twitterを通して拡散性を広げてゆくことをどれたけ重視したか」も伝えていた。

チームiU

 最後は、チームiUのプレゼンへ。テンション高いプレゼンを示していたこのチーム。彼らは、「はしれ!まえせつ」のターゲットを、「原作者の美水かがみ先生を好きな人たち」「「まえせつ!」のファン」「アニメファン」へ向けて制作を始めたことを説明。「総じてヲタクユーザーをいかに取り込めるか」が、このゲームのポイントになっていた。


チームIuは、コアなユーザーへの認知を通してアニメファンを取り込むことをテーマにゲームを制作。同時に、「クライアントが求めているのは「シンプル」「拡散しやすいこと」「「まえせつ!」への誘導」と3つのポイントである」とも分析。それらを踏まえ、ボタン一つでゲームを進められるシンプルで簡単なラン(RUN)ゲームとして「はしれ!まえせつ」を制作。「「ワンアクション」「スコア×競争×報酬」「拡散によるIPを認知」をポイントに作り上げた」とも説明していた。
ゲーム制作期間は、1ヶ月。審査員たちは細かいところまでいろいろと質問。「ゲームをプレイしながらもマーケティングを重要視」したことなど、ゲームを楽しむのに終始するのではないところが、このゲームの特色であることを説明。実践性が高いからこその質問が飛び交っていたのも、特色だった。最後にチームは、「マーケティングを軸にしたシンプルな内容がこのゲームの肝になっている」とも語っていた。

審査結果

4組のプレゼンを終え、審査タイムへ。審査中は、お互いに「まえせつ!」に声優として登場。司会のBANBANBANと、ゲストで登場したふりいくっによるトークショーが行なわれた。
その後、審査発表へ。選ばれたのが、「チームカナザワ」。決め手となったのが、「伸びしろが一番あること」。「ゲームは生き物なので、どんどん進化してゆく。その良くなっていく度合いが一番大きかったのが、チームカナザワ。今後改良点は多々あるが、むしろ、改良しやすいところ」に審査員たちが可能性を覚え、選んだそう。クオリティだけを捉えたら、他の3組のほうが高かったが、総括するなら、「チームカナザワの持つ無限の可能性に期待を込めた」ということだろう。メンバーたちは、「トロフィーをもらうことが出来て、とても嬉しいです」と高校2年生らしい感想も述べていた。

これから実際にこのゲームがプレイ化されるのかも含め、その先の展開が楽しみになってきた。ちなみに、「まえせつ!」へ企画協力している吉本興業の審査員の方々は、「チームサカキが一番吉本っほい」と高い評価を与えていたことも、最後にお伝えしておこう。

TEXT:長澤智典

【「まえせつ!」 番組概要】
お笑い芸人を目指す4人の若き乙女たち19歳(北風ふぶき、凩まふゆ、新谷りん、朝生祇なゆた)は日夜バイトに明け暮れながらも一生懸命にネタの練習に励んでいる。笑いでみんなを幸せに!
みんなの幸せで私たちも幸せになる、というきれいごとを大義名分に頑張るも、なかなか芽が出ない4人だった。
そんな4人には「お笑い界の武道館」、なんばグランド花月の舞台に立つ!という目標があった。
しかし、とりあえずまずは身近なところからいっとこか、ということで、東京渋谷の無限大ホールのいっちばん最下層ファームクラスの舞台に立つことを目指して頑張っていくことにした。 彼女たちのライバルであり(勝手に彼女たちが思っているだけ)、まふゆの妹のまなつとその幼なじみの金成かなえの高校の先輩でもある現役女子高生芸人「JKクール」を目標に、まなつとかなえの女子高1年生組も芸人を目指し始める!
総勢8人、4組による、お笑い日常奮闘記。 “牛乳は吹き出す!笑いは隠せない”

【「まえせつ!」 放送スケジュール】
●AT-X 毎週日曜日23:30
※リピート放送(月)23:00/(水)15:00/(土)7:00
●TOKYO MX 毎週日曜日24:30
●BS日テレ 毎週月曜日24:00
●MBS 毎週火曜日27:30
●山梨放送 毎週土曜日25:30
「まえせつ!」 番組HP https://maesetsu.jp/

バンタンゲームアカデミー高等部
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