自分が動ける限り、UNCLOCK LOVERの音楽は鳴り止むことはないです。

10月に行ったワンマン公演で先行発売した、UNCLOCK LOVERの1stアルバム「Crawl up from the bottom」。UNCLOCK LOVERは、ヴォーカリスト/ギタリスト頼田陵介のプロジェクト。本作には、彼がUNCLOCK LOVERとして約8年間活動を続けてきた中で生み出した曲たちを全部で10曲収録。UNCLOCK LOVERとしての歩みが見えてくる作品に仕上がっている。この作品は、現在、ライブ会場と通販で手にすることが可能だ。
今回、同アルバムの魅力を頼田陵介に語っていただいた。

身体を壊していうことが効かないなど、よっぽどの状況へ陥らない限り、僕が音楽を辞める選択肢はないです。

――1stアルバム「Crawl up from the bottom」に触れ、最初に感じたのが、頼田さんの生きざまを色濃く収録した作品という印象でした。たとえ厳しい状況下へ置かれようとけっして音を止めることは…音楽を辞めることはない強い意志を持って活動をしている。その気持ちが、いろんな曲たちを通して伝わってきました。

頼田 身体を壊してなど、よっぽどの状況へ陥らない限り、僕が音楽を辞める選択肢はないです。誰かの意志に翻弄されてあきらめるとか、他の人が介在して辞めるなんてことはけっしてないと断言できます。

自分がバンドではなく、ソロという選択肢を取っているのも、すべての決定権を自分で裁量できるから。もちろん、長くサポートメンバーとして支えてくれている仲間たちがいれば、その人たちの意見も尊重しています。そのうえで、最終的に進むべき道をジャッジしてゆくのは自分でありたい。それに、僕を支えてくれる人たちが今たくさんまわりにいて、UNCLOCK LOVERや頼田陵介としての活動に期待を寄せてくれれば、その期待を背負った活動を続けてきたことで今の自分がいる。その環境の中で、やめられるわけがない。自分が動ける限り、UNCLOCK LOVERの音楽は鳴り止むことはないです。

 

――アルバム「Crawl up from the bottom」には、ここまでのUNCLOCK LOVERとしての歩みを詰め込んでいるとお聞きしました。

頼田 活動初期から最近の曲までいろいろ詰め込みました。これまでもリリースはしてきましたが、ずっとシングル作品という形を取ってきた。それもあって、ここへ至るまでのUNCLOCK LOVERの歩みを1枚に集約したかったんです。結果、全曲のミックスやマスタリング、ジャケットのデザインまでも含め、すべてみずからの手で作りあげました。

――収録曲の中、一番古いのはどれになるのでしょうか?

頼田 アルバム収録曲の中、唯一のバラードにもなった「この世界で」になります。自分もすごく思い入れの強い楽曲で、アコースティックなスタイルでライブをやるときは、よく最後にこの曲を歌っています。アルバムへ収録するうえでも、アコースティックな色をしっかり生かしました。
逆に、一番新しいのが「暁」。コロナ禍という今の時代性ともリンクする思いを記したせいか、コロナ禍の世の中を歌っていると思われがちですが、アレンジなど完成させたのはコロナ禍になってからですけど、原曲を作り、歌詞を書いたのはその前の時期。レコーディングに当たって、今の時代に合わせようと歌詞を若干微調整はしていますが、今の世の中へ陥る前から歪んだ世界に対して、こういう思いを持っていました。

 

――「証」の歌詞へ記した「残したいのは生きた証」じゃないですが、頼田さんの歌の数々から伝わってくるのが、どんな苦境へ立たされようと、絶対に音楽活動をあきらめない不屈の闘士。

頼田  音楽という夢を追い求めてる人たち、芸術家や役者としての道を進もうとしている人たちにも言えることだけど。このアルバムに収録した曲たちを耳にしたらきっと、胸に抱いた夢をあきらめることなく前へと進もうとする気持ちになってもらえると思う。自分も、UNCLOCK LOVERの音楽に触れてくれた人たちの励みになればなと思って届けました。

 

――ある程度の年齢や経験を重ねてゆく中、描いた夢をあきらめ、異なる道へ進み出す人たちも身近に増えてきません?

頼田  僕自身、そういう人たちの姿は身近でかなり見てきました。「俺、もうこの世界から去るわ」と言って、違う舞台に人生の道を切り換えた人たちもいれば、何も言わずどころか、人知れず去ってしまった人たちだっている。表に立つプレイヤーという道は下りたけど、作家やプロデューサーなど、違うスタンスで音楽に関わり続けている人もいる。

音楽に限らず、夢を追いかけている人たちなら誰もがそう。「どっちの道へ進むべきか」という人生の分岐点がかならず訪れる。そこで音楽の道を走り続ける人もいれば、違う分野の道へ進み出す人もいる。もちろん、どっちの道にも間違いはない。中へ「線上戦歌」のような「自分が新たに選んだ道なら、その道で頑張れ」とエールを送る曲も収録しているように、大事なのは選んだ道をどう進んでいくか。身近にも、音楽とは異なる道に進んだけど、しっかり自分の道を進んでいる人たちもいれば、今でも一緒に酒を酌み交わしている。そういう関係でいれるのが嬉しいじゃない。

――頼田さんは、その分岐点で音楽の道を選んだ方。しかも裏方ではなく、プレイヤーとしての道を選び続けていますからね。

頼田  自分も割と長いことプレイヤーをやってきたように、自分以外の人に曲を書く経験もしてきました。でも、他の人に曲を書くって、自分はあまり面白さを感じないんですよね。それよりも、「Liberation」じゃないけどずっとスポットライトの下にいたい。どうも、作家は自分には向いてないですね(笑)。

 

いろんな物事の手配や交渉など、誰もが日常の仕事としてやっていることじゃないですか。それらを経験し、そこで人として器を広げることが、結果的に表現する音楽にも深みを与えていく。

 

――今は、UNCLOCK LOVERというバンドスタイル。複数人によるアコースティックなスタイル、弾き語りという頼田陵介としてのスタイルと、3つの姿で楽曲たちを表現していますよね。

頼田  僕自身うるさい音楽が好きなので、バンドスタイルを軸に据えていますけど。月数本ライブをやっていく中、そのときの趣旨や会場に合わせ、アコギ・ウッドベース・カホンと一緒の複数人スタイルや、アコギの弾き語りなど、そこは臨機応変柔軟に取り組んでいます。

個人でやり続けているのも、その柔軟性を取れる魅力もありますからね。今は、ほぼ固まったサポートメンバーがいますけど、出会いの中、「この人に演奏してもらいたい」と思った人に声をかけ、一緒に演奏できるのも、ソロというスタイルだからこそ取れること。もっというなら、ライブのオファーを含め、いろんな話があったときに自分の一存ですぐに決められるし、他の人の都合に左右されてチャンスを失うこともない。そのフットワーク軽くできるところも魅力なんでしょうね。

――そのぶん、何事もすべて自分でやらなきゃいけないから大変じゃないですか?

頼田  確かにマネージャー的な動きも含め、音楽のみに集中していける環境ではないです。だけど、その経験が自分の意識を広げているのも事実。いろんな物事の手配や交渉など、誰もが日常の仕事としてやっていることじゃないですか。それらを経験し、そこで人として器を広げることが、結果的に表現する音楽にも深みを与えていく。そういうことをせずにいると、どんどん自分が薄っぺらい人になりそうだから、雑用も含め、すべてを担うことを楽しんでいるし、大事だなと思っています。

少し余談な話になりますけど。サポートメンバーにいるベースのjunichiroさんが、何時の時期からか、僕のことを「社長」と呼び出したんですよ。そう呼ばれるようになってから自分の気持ちもピリッとしたというか、「自分がもっとしっかりしなきゃ」「UNCLOCK LOVERというバンドを支える屋台骨になっていかなきゃ」という気持ちにさせられた。そういう何気ない言葉や信頼や期待が、自分を成長させてくれたところがありましたからね。

 

今は、目を背けたくなるいろんな事件か日常の中で起きている。そういう時代だからこそ、今の時代の中に欠けている感情や忘れている気持ちを、少しでもいい、みんなに取り戻してもらえたらなという気持ちがあります。

 

――1stアルバム「Crawl up from the bottom」。収録した曲の流れにもドラマを描いていません?

頼田 曲順に関しては、曲調や歌詞に込めた思いなどの関連性も含め、1本の壮大な映画を見るような感覚で作りあげています。それこそ、「Spiral」「Liberation」「抗う魂」「証」などの激しくも尖った気持ちを吐き出す生きざま示した曲たちから物語が始まり、「旅人」や「流星」のように人への思いなどナイーブな心情を綴った曲たちへ繋がれば、ふたたびクライマックスへ向け「線上戦歌」や「Ready go」を通して熱く気持ちを高め、「この世界で」でクライマックスを迎え、「暁」というエンディングに入ってゆく。

 

――それ、素敵な流れですね。中には、「流星」や「この世界で」のような、今は会えなくなったけど。でも、大きな心の支えになってくれた愛しい人へ向けた思いを綴った曲も入っています。ああいう表情たちも加わることで、アルバムへより深みが出たなとも感じています。

 

頼田  一時期、路上で弾き語りをやっていた時期があったんですけど。その時点では未完成だった「流星」を何度か披露したことがあって、やるたびにめちゃくちゃ好評だったんですね。その曲もしっかり完成させ、中へ収録できたのは良かったなと思います。

もちろん、どの曲もお勧めだからこそ収録したわけですけど。今の時代の中、「暁」はとくに聞いてほしいなと思っています。

――すさんだ世界の中、少女の笑顔に心救われる面も記した歌ですね。

頼田  今は、目を背けたくなるいろんな事件か日常の中で起きている。そういう時代だからこそ、「暁」を通して、今の時代の中に欠けている感情や忘れている気持ちを少しでもいい、みんなに取り戻してもらえたらなという気持ちがあります。

 

――1stアルバム「Crawl up from the bottom」には、自分の気持ちを奮い立たせ、前へと突き動かす歌たちが多いですからね。

頼田  だからと言って、アルバムへ収録した曲たちを押しつける気持ちはないんですよ。望むなら、このアルバムを聞いたことで、少しでも気持ちが前を向いてくれたら嬉しいなと思います。
本当なら、ここに詰まった曲たちを、さらに熱を加えたライブとして臨場感を持って届けたいけど。今も各地に足を運ぶのが難しければ、今もいろんな制限下の中でライブをやっている状態です。今回の作品は、現状、ライブ会場と通販限定で販売しています。でも、ライブ会場に足を運べない方は通販なら確実に手にできますから。もちろん、本当に近い時期、CD盤の全国流通やサブスク配信でもこの曲たちを届けようと、今、準備を進めています。

今回のアルバムジャケットに描いたのが、ぐちゃぐちゃな世界の中で広がった翼。そこには「まだまだ戦えるよ」という思いを込めています。CD盤には歌詞カードがついてるように、出来れば歌詞を読みながら聞いてもらいたい。僕は、歌詞を読んだだけでも、一遍の小説を読んでいるような気持ちになれるように歌詞を書いています。だからこそ、歌詞も含めてUNCLOCK LOVERの曲たちをしっかり心で受け止めてもらいたいんです。

――確かに、胸に響く曲たちを詰め込んだ物語集でもありますからね。

頼田  自分にとっては、すべての曲が痛みを持って産んだ子供たちのような存在。1曲1曲強い思いを持って書いた曲たちが一つになったのが、この「Crawl up from the bottom」というアルバム。自分にとっては、一冊の分厚い本のような1枚。もちろん、これからその分厚い本を何冊も並べていきたいなと思っています。

それと、来年には東京や関東近郊のみならず、もっと各地へ足を運ぼうと思っているし、来年も大きなワンマン公演をやろうと考えているから、ぜひ、UNCLOCK LOVERがみんなで集まる場所に旗を掲げたときは、そこへ集まってもらえたらなと思います。まずは、1stアルバム「Crawl up from the bottom」に触れてください。よろしくお願いします。

TEXT:長澤智典

CD情報
「Crawl up from the bottom」
UNCLOCK LOVER

01:Spiral
02:Liberation
03:抗う魂
04:証
05:旅人
06:流星
07:線上戦歌
08:Ready go
09:この世界で
10:暁

■クレジット
LAVEL Cozmic Bubylon Records
All songs&Lyrics/頼田陵介
Mixed & Recorded by
頼田陵介
Art Direction/頼田陵介
Recorded Member
Vocal:頼田陵介
Guitar:頼田陵介/舜/友樹/寛
Bass:junichiro/Ken/NAO
Drums:nalu-shin

通販はこちらから
https://shop.atreat.net/item/unclock-lover/unclocklover03/

SNS

https://twitter.com/yorita_ryosuke
http://yorita-ryosuke.main.jp/
http://cozmic-babylon-records.com/
https://www.youtube.com/channel/UC3nuiy6s6ekeHcQn_YIdqRg

■アイテム:
Crawl up from the bottom(クロウルアップフロムザボトム)
■キャッチコピー
-Books-

■アイテム説明
2021年10月24日吉祥寺SHUFFLEで行われたワンマンLIVEで、先行発売となったUNCLOCK LOVERの待望の1st Full ALBUM。
頼田陵介本人は勿論、サポートメンバーもレコーディングに参加している。
又、MIX、MASTERINGも頼田陵介本人が行い、1年半もの制作期間をかけて完成した自主制作ならではのこだわりの詰まった作品となっている。
収録曲は全10曲、7年前にリリースした1枚目のシングル(君がいたから)から6枚目のシングル(線上戦歌)から各1曲ずつ(計6曲)再録され、新たに書き下ろした4曲で構成されている。
頼田陵介自身が楽曲、歌詞を制作する時、『1冊の本のようにしたい。』と、常々口にしている。

勿論メロディーは一番大事にしているところではあるが、
メロディーに載せず、歌詞だけを読んでも、又、楽曲だけを聴いてもストーリー性を感じられなければそれは彼の中では駄作という事になるのだろう。

今回のこの1stALBUMは、そういった背景がありつつ書き綴られた本の集合体のようだ。

1曲目-Spiral-
荒ぶったハイハットのカウントからスピード感溢れるギターリフとドラムビート、オープニングからテンションが上がるアップテンポのRockナンバーだ。
詞の内容的には、生きていればひたすら付き纏う対人関係、それに悩まされ騙され、失い傷ついてしまった心を開き直りにも取れるが、自ら立ち直らせようとする強い感情が伺える。

2曲目-Liberation-
5枚目のシングル曲にもなっているこの曲、
アルバムでは全てのパートが再度録音されている。
ミディアムテンポのパワー感溢れるライブ感漂うナンバー、
楽曲の印象と同様に詞の内容もステージに立つ者をイメージさせる内容となっている。
敷いて言うなら90年代のライブハウスのどこか危なげな香りを彷彿させる。
曲が進む毎にその世界に引き込まれていく感覚に呑み込まれていくようだ。

3曲目-抗う魂-
キレのあるカッティングから始まりスピード感のあるベースラインでのイントロ、Aメロでグッと落としてサビでパーンと弾ける王道の1曲。
何処か懐かしさを感じるメロディーだが、古臭さを感じさせず絶妙なバランスで仕上がっている。
人は誰もが起きてしまった現実に呑まれつつも、抗い戦う姿が想像できる。

4曲目-証-
4枚目のシングル曲にもなっているこの曲、
こちらも今回のアルバムでは全パート再録されている。
荒いサウンドのままのギターリフから全体が入って一気にまとまる感じがグッとくる。
進めど進めどゴールの見えない夢路の途中、折れそうな心を必死に守って自分に言い聞かせているような詞
は、聴く者に追求する事への勇気を与えてくれているようだ。

5曲目-旅人-
他の楽曲とは一転して、大人なムードのコード進行で構成されているミディアムテンポのナンバー。
亡き友に捧げた唄、
これはもうなんて言って良いのか、
感情が剥き出しなのに繊細なメロディーライン。
思い出と敬意と無力感と感謝を込めた楽曲。
心に響く。

6曲目-流星-
3枚目のシングル曲にもなっているUNCLOCK LOVERの代表曲。
こちらも今作では、全パート再録となっているようだ。
楽曲アレンジがかなり美しい仕上がり、タイトル通り満天の星空を想像できる。
前曲の″旅人″と似たテイストの詞に取れるが、方向性は違うようだ。
現実を受け入れ、これからの未来に向けて歌っているような詞。

7曲目-線上戦歌-
6枚目のシングルにもなっているこちらもUNCLOCK LOVERならではの楽曲と言えるだろう。
疾走感もありつつ、お洒落なフレージングもあり、且つパワーで押し切る感じの楽曲。
苦悩を綴った詞にも取れるが、
夢を見る全ての人へ向けての弱さと強さを兼ね備えた応援ソングだと私は思う。

8曲目-Ready go-
2枚目のシングル曲にもなっているこの曲、
ライブでは本編の最後にやるのが定番化していると言っても過言ではない。
″ただ願うならただ夢見るなら…
いつでもできる事だろう″
不思議と下げている顔をあげてしまう。
不思議とパワーをくれる楽曲だ!

9曲目-この世界で-
1枚目のシングル『君がいたから』に収録された楽曲。
こちらも全曲再録。
サウンドのクオリティは比べるまでもなく上がっている。
VocalとAcoustic guitar のみからスタート、このままvocalとAcoustic guitar で終わるかと思わせてバンドが入ってきた時の迫力は、自然と頷いてしまう。
良い出会い、悪い出会い、その両方があるからこそ人との出会いを大切に思える。
その事を大切に思う気持ちがしっかりと表現されているRock ballad。

10曲目-暁-
今作のラストを飾るのは
UNCLOCK LOVERの最新曲。
他の楽曲とは一転して曲調は明るめ、
ALBUMの締めくくりにふさわしいアップテンポのナンバーになっている。
楽曲の長さは3分と短いが、この3分間に様々なドラマが集約されている。
ALBUMを通して聴くと、映画のラスト10分のような感じだ。
詞の内容もとても暖かい気持ちになる。
思いやりの気持ちを、人は時として失ってしまったりする。
大切な事を忘れてないかい?
と、問い。又、諭してくれているようだ。

ALBUM全曲を通して彼と彼の周りにいる人との繋がりと人間味を感じられる素晴らしい作品になっていると私は感じる。
是非、手に取ってこの作品を堪能して貰いたいものだ。